枯れないクローバーは本当にあるのか

「NEWSから大切なお知らせってメールが来たんだけど、早く帰ってきて!」

 6月19日18時過ぎ、シゲ担の母からかかってきた電話に血の気が引いた。

 5月下旬の週刊誌の報道から、もしかしたらと覚悟はしていたことだったが、なぜこのタイミングなのかと疑問でいっぱいだった。


 その日私は、前日の配信ライブを見て、4人のNEWSであったことに、否、3人が4人であるNEWSを守ろうという姿に感動を覚え、報道以降聞いていなかったクローバーを聞きながら涙を堪えて帰路についていた。日中体調が優れなかったため、症状から鉄分不足かもしれないと最寄りのスーパーにいた移動販売車の焼き鳥屋のおっちゃんに「レバー3本」と伝え、焼き上がる間にスーパーで酒を買おうと選んでいたところに先の電話の内容である。そして、焼き鳥が焼き上がるより先に「退所だわ」と追い討ちをかけるように母からのLINEが届いた。私が帰るまで待てなかったんかい。

 なぜ私はレバー3本にしたのか。4本と伝えていれば。そんなことは関係ない。クローバーは枯れてしまった。枯れないクローバーなどなかったのだ。目の前が真っ暗になった。

 


 あまりの動揺に酒を買うのも忘れ、帰宅してレバー串を片手に「大切なお知らせ」を見た。3人が声を震わせてこちらに謝罪する姿は見ていて胸が痛かった。どうしてこの人たちが謝っているのか。

「守れなくてごめんなさい」

 私たちは3人にとても重い足枷をつけているのではないかとこちらが申し訳なくなった。それ以上言葉が見つからなかった。そこに登場したのが問題の彼である。

 


「テイッ!!」

 


手越おまえ〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!

 

 

 あまりの怒りに呟かざるを得なかった。
 全ての元凶とも言える人間がなぜ火に油を注ぐのか。3人が謝っているのにテイッ!!じゃねえ!!!!!!私は煮え切らない想いと共に拳を震わせていた。スーパーポジティブ人間だかなんだか知らんが、いや知っとるが、今じゃないんじゃぁ……! と私の心の中に住み着いたノブが突っ込んだ。

 

 私がNEWSを好きになって約5年。NEWSの歴史の中でたった5年という短い時間であるのになぜこんなにも厄介事が多いのか。ひたすら真面目に仕事に取り組むメンバーの一方で、常に週刊誌に追われ、掲載され、不祥事、活動自粛、番組降板。また良い波に乗ったと思えば、再び不祥事、自粛。ステイホームもできない奴が活動自粛なんかできるわけなかった。結果この有り様。この5年で2回もメンバーが活動自粛することなんてある? そう思ったらずっとNEWSを応援している先陣たちの想いは計り知れない。

 どうしてこうもNEWSは上手くいかんのじゃ。ノブが再び顔を見せた。


 そして、私が好きになったNEWSはもういない。スーパーポジティブ人間の登場により、それが現実味を帯びた。そこからは走馬灯のように過去のコンサートが蘇った。

 初めて行ったジャニーズのコンサートがNEWSのQUARTETTOだった。初めてのジャニーズ、初めてのNEWS、初めての東京ドーム、初めてのアリーナ。隣の席のおばさまが手越担で手越くんが通る際に「指さして」というファンサうちわをサッと取り出すと手越くんもすぐに反応して指をさした。私は流れ弾を喰らった。すごい。ジャニーズすごい。手越くんすごい。キラキラしたアイドルオーラに撃ち抜かれた。

 NEVERLANDでは2階席だったものの、光剛山で目の前に現れた手越くんのオーラに再び釘付けだった。笑顔がかわいい。手越くんすごい。

 EPCOTIA、WORLDISTAでも遠くまで手を振ってファンサをしている手越くんを見ていた。目で追うのは自然と手越くんだった。

 バラエティ番組やFC動画、MCでも手越くんの突拍子もない言動に笑わせてもらった。

 それになんと言ってもNEWSと言えば曲が良い。特に手越くんの歌唱力はずば抜けていて、私のジャニーズというアイドルの固定概念を覆した男である。

 ――と、ここまで考えてハッとした。私はNEWSでは増田くんが好きであって、増田くんと加藤くんのクリエイター組の2人にしかわからない独特の空気感と同級生感とゆるい絡みが好きなのであって、それはそうと元小山担である。それなのにパッと思い出せるのは手越くんの思い出しかないのだ。


 私は自分が思っている以上にアイドルの手越くんが、4人のNEWSが好きだった。手越祐也という人間は昔から好きになれなかったが、アイドルの、NEWSの手越祐也に気づかずうちに元気と勇気をたくさんもらっていたのだ。

 ライブ配信の当日にはこんなことを言っていた。

 

 

 NEWSの華は確かに手越祐也だった。

 それなのにもうクローバーは四葉ではない。貴重な、大事な四葉のクローバーを私はなくしてしまった。涙が止まらなかった。

 


「辛くなるなら、聞かなくていい」


 そう歌う増田くんの声を無視して四葉を探すように無我夢中で泣きながらNEWSを聞いた。そこには確かに四葉のクローバーが咲いていた。配信ライブのアーカイブも見直した。四葉の片鱗は見えたものの、そこに存在していたのは三葉だった。

 NEWSはもう三葉として新たな道を進んでいた。現状から見たバイアスでしかないのはわかっている。それでもそんなふうに感じたのが正直なところだった。枯れないクローバーなどないと先述したが、クローバーは枯れてなどいなかった。三葉としてしっかりと根を張っていた。

 


 私が好きになったのは4人のNEWSであって、4人のNEWSが好きだ。これからもきっとそれは変わらない。それでも3人がNEWSを貫くというのなら応援したい。きっとまだまだ泣いてしまうし、手越くんのことは未だ許せないところはあるが、これまでの活躍に感謝をしています。これから手越くんには新しい道が待っている。それが例え茨の道だったとしても彼はきっと突き進むだろう。

 


 いつかまたどこかで四葉のクローバーが見つかることを願って。今はこの三葉のクローバーを大切に持っていよう。